FX裁量トレードとは、トレーダーが自身の判断に基づいて取引を行うことです。
自動売買とは違い、裁量トレードには値動きに対する「対応力」が求められます。
「裁量トレード」と「自動売買(EA)」の違いについて知りたい方はこちら
このため、裁量トレードをするには、MT4の操作方法や注文方法などの流れを理解しておく必要があります。
そこで本記事では、FXの裁量トレードの流れについて、MT4の取引画面を見ながら初心者にもわかりやすく解説します。
FX裁量トレードの流れ
- 取引する通貨ペア・商品を決める
- 売り買いの戦略を立てる
- 利確・損切目標を決める
- 損益額に応じた注文ロットを決める
- 注文を発注する
- 市場の状況・値動きを監視する
- 保有ポジションを決済する
取引する通貨ペア・商品を決める
FXトレードを始める最初のステップは、取引する通貨ペア・商品を慎重に決めることです。
- トレードする時間帯の値動き
- スプレッド・スワップなどの取引コスト
通貨ペア・商品によって値動きがでやすい時間帯、出にくい時間帯があります。例えば、ドル円やユーロ円など「円」に関連する通貨は、東京市場がオープンしている9時前後から15時までが動きやすいです。
さらに、通貨・商品によって値動きの大きさが違います。
「ゴールド」や「ポンド」は値動きが大きく、値幅がとりやすいです。参考に「平均的な1日の値動き」を分析した結果を下記の記事で紹介しています。
通貨ペアの「取引コスト」が少ないことも重要です。
「スプレッド」と「手数料」が大きい通貨は、コストが大きくなり利益が減ってしまします。さらに、忘れられがちですが「スワップ」も確認してください。スワップがマイナスの通貨は少しずつ利益が圧縮されていってしまいます。
取引コストは使用するFX業者によっても大きく違ってきます。本サイトでは、実際のスプレッドとスワップを計測して比較しています。ぜひ下記の記事を参考に、取引コストが少ないFX業者を選んでください。
売り買いの戦略を立てる
取引する通貨ペアや商品を決定したら、次に具体的な売買戦略を立てます。「テクニカル分析」や「ファンダメンタル分析」をトレードの根拠に戦略を立てます。
テクニカル分析では、過去のチャートパターンやインジケーターを利用して、値動きを予測します。一方、ファンダメンタル分析は、経済指標や政治情勢などの情報を基に、通貨の価値を判断します。
例えば、下図はテクニカル指標である「PIVOT」を用いた売買戦略です。「始値」と「PP」が乖離しているときに、PPまで価格が戻ってきたら取引する戦略です。

詳しくは下記の記事を読んでください。
FX初心者の方で、いきなり戦略と言われても難しいと感じている人もいるかもしれません。
本サイトでは下記の記事でおすすめのインジケータと手法を紹介しています。手法を決める参考にしてください。
最終的には、「自身のトレードスタイル」に合った戦略を立てることが、成功するための鍵です。
利確・損切目標を決める
売買戦略が決まったら、利益確定(利確)と損失確定(損切)の目標値を設定します。
利確や損切を決めずになんとなくでトレードして失敗しないように、しっかりリスク管理をしてください。どれだけ優秀な戦略でも予測通りに行くこともあれば、そうでないこともあります。
例えば、エントリー価格から上下20pipsに利確と損切を設定するなど、pipsで管理すると楽なのでおすすめのです。
1回の失敗で再起不能にならないためにも最低限「損切」だけは注文前に決めてください。利確と損切を設定することで、感情的な判断を防ぎ、安定した利益の確保に繋がります。
注文と同時に簡単に利確・損切注文を入れられる発注ツールを本サイトでは提供しています。

下記の記事で使い方を解説していますので、ぜひダウンロードして使ってください。
損益額に応じた注文ロットを決める
損切目標が決まったら、「許容できる損切金額」に応じた適切な「注文ロット」を決めます。
注文ロットとは、何万円分の取引を行うかという「取引数量」のことです。
XMのスタンダード口座の場合、「1ロット」は「10万通貨」です。ドル円を1ロットを注文するということは10万ドルの取引をするということです。1ドル150円で計算すると、ドル円を1ロット注文すると「1,500万円相当」の取引をしていることになります。
このため、注文ロット数が大きすぎると、わずかな価格変動でも大きな損失を被る可能性があります。逆に小さすぎると、トレードの利益が上がりにくくなります。
トレード戦略にもよりますが、一般的に1回のトレードのリスク額は、「口座残高の2~5%」程度に抑えるのが良いとされています。
例えば、口座残高が100万円の場合、1回のトレードの想定する損切金額は2~5万円となります。
「損切目標」と「許容損切額」が決まれば、注文ロットを計算できます。
ドル円で損切り幅を20pipsに設定し、損失額を2万円に抑えたい場合、注文ロットは1ロットとなります。
すなわちドル円で1ロット注文すると10pipsで1万円の損益になります。
具体的なロットの計算式を知りたい方は、下記の記事を参考にしてください。
損失額をコントロールしながら、適切なロット数で取引を行って、安定したトレードを目指しましょう。
注文を発注する
売買戦略、利確・損切目標、注文ロットが決まったら、いよいよ実際に注文を発注する段階に移ります。
注文の発注は、MT4の注文機能を使います。MT4には、「成行注文」、「指値注文」、「逆指値注文」の3つの主要な注文方法が用意されています。
- 成行注文
- 指値注文
- 逆指値注文
それぞれの注文の特徴は、下記の記事を参考にしてください。
ここでは、最も用いられる成行注文について説明します。
成行注文する方法はいくつかありますが、最もシンプルな方法は「ワンクリック注文」です。

チャート左上の「▲」マークを押すと「ワンクリック注文」の表示・非表示を切り替えられます。
パネルが表示されたら、中央の上の数字の欄に「注文ロット」を設定し、売り買いのボタンを押せば成行注文ができます。
ただし、MT4をインストールしたデフォルトの設定では「ワンクリック注文」は許可されていません。オプションを開き、許可をする必要があります。

オプションを開いたら「取引」タブの「ワンクリック注文」の左のチェックを入れると利用できます。

市場の状況・値動きを監視する
注文を発注した後も、油断は禁物です。市場の状況と値動きを監視し、必要に応じて戦略を修正して対応することが求められます。
特に、重要な経済指標発表時には、短時間で大きく価格が変動することがあるため、注意が必要です。
また、MT4では「アラート機能」を活用することで、メールやチャットツールなどにメッセージを送付して確認することで、効率的に市場を監視できます。
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例えば、設定した価格に到達した場合にアラートが鳴るように設定しておけば、チャンスを逃さずに済みます。
保有ポジションの決済をする
最後に保有しているポジションを決済して、利益・損失を確定させてトレードが完了です。
ポジションの決済方法は、事前に利確(指値)と損切(逆指値)を設定しておく方法と、利確目標や損切目標に到達した場合に自分で決済する方法があります。
事前に自分で設定する方法は、前述しましたので、ここでは自分で決済(成行)する方法を紹介します。
MT4でポジションを決済するには、「ターミナル」で決済するのが簡単です。ターミナルとはMT4の画面下部に表示される、保有ポジションが表示されるパネルです。

ターミナル上で決済したいポジションの「損益」に表示されているバツ印をクリックすると、ポジションが成行で決済されます。
ただし、「ターミナル」上ではポジションを一つ一つクリックして決済していく必要があります。多くのポジションを保有していると決済が遅れる可能性もあります。
このようにポジションが複数になった場合は、一括で削除も「ツール」で便利です。
本サイトでは、ワンクリックですべてのポジションを一括決済できる「Smaer Order」を提供しています。

このツールでは、一括決済ができるだけでなく、金額やpipsで複数ポジションを自動で決済してくれる機能もあります。

詳しくはこちらの記事で紹介しています。
初心者のうちは、ポジションの決済が完了したら、スクショなどをとって反省点や改善点を見つけることで、次のトレードに活かせます。トレード日記をつけている人も多いです。
初心者が裁量FXトレードでつまずきやすい3つのポイント
裁量トレードは、自身の判断で取引を行うため、自由度が高い反面、初心者がつまずきやすいポイントも多く存在します。
- 一貫性がなく、毎回違う根拠でエントリーしてしまう
- 通貨ペアの特徴を理解していない
- 感情に左右されたトレードをしてしまう
テキスト
上記の3ポイントに対策をしておくだけでも、トレードの成果は劇的に変わります。
一貫性がなく、毎回違う根拠でエントリーしてしまう
FX裁量トレードで初心者が陥りがちな失敗として、トレードに一貫性がないことが一番多いです。
近年、SNSやWebサイトに多くのFXに関する情報や手法が出回っています。
自分の手法に自信のない初心者の方は、「稼げる」や「爆益」などの言葉に踊らされて、いろんな手法を試してみたくなってしまいがちです。
例えば、ある時は「移動平均性」を重視してエントリーし、別の時には「RSI」を根拠にエントリーするというように、その場しのぎでトレードの根拠を変えてしまいます。
どんな手法にも「得意な相場」と「苦手な相場」があります。何回か負けたが続いたからといって手法をコロコロ変えていては、どれが良くてダメなのか判断ができません。
さらにトレードの手法、戦略はすぐに身に付くものではありません。一貫性のないトレードを続けていると、エントリーの根拠が曖昧になりがちで、なぜそのタイミングでエントリーしたのかを説明することができず、トレードの振り返りも困難になります。
トレードの振り返りができないと、失敗から学ぶことができず、同じ失敗を繰り返してしまう悪循環になってしまいます。
では、どうすればいいかというと、まずは1つの手法や戦略の根拠を自分で説明できるまでこだわるべきです。
例えば、下記の記事では「ゴールド」の1日の時間帯ごとの値動きを過去をさかのぼって分析し、手法にしています。
分析では平均的な値を用いているので、毎回分析通りの値動きになるわけではありません。でも長期的にみれば、分析通りになる確率が高いです。
このようにFXに慣れないうちは「根拠が説明できるトレード手法」を自分で分析してもいいですし、どこかの情報でも構いませんので、決めた手法を信じて、こだわってトレードをやってみていただきたいです。
感情に左右されたトレードをしてしまう
FX裁量トレードにおいて、感情に左右されたトレードは、初心者が陥りやすい失敗の典型です。
特に、損失が続くと「取り返したい」という心理が働き、根拠のないトレードを繰り返してしまうことがあります。また、利益が出ると「もっと稼ぎたい」という欲が強くなり、リスクの高い取引に手を出すこともあります。
このような感情的なトレードは、冷静な判断力を鈍らせ、結果的に大きな損失につながる可能性が高まります。
これらの感情的なトレードを避けるためには、手法や戦略のルールを決め、そのルールに従って一貫したトレードを行うことが重要です。
取引結果を記録し、自分のトレードを客観的に分析すること有効です。
通貨ペアの特徴を理解していない
初心者の方は、通貨ペアの特徴を十分に理解しないまま取引をしてつまずくこともあります。
各通貨ペアは、それぞれ異なる値動きの特性を持っており、特性を理解せずにトレードすると、予期せぬ損失を被る可能性が高まります。
例えば、米ドル/円(USD/JPY)は比較的安定した値動きをする傾向がありますが、ポンド/円(GBP/JPY)は値動きが大きく、短時間で大きな利益を得られる可能性がある反面、損失のリスクも高まります。
また、資源国通貨と呼ばれるオーストラリアドル(AUD)やカナダドル(CAD)などは、資源価格の変動に大きく影響を受けるため、これらの情報を常に把握しておく必要があります。
さらに、通貨ペアによってはスワップがマイナスで毎日損が膨らむ通貨もあります。例えば、ドル円は1ロットで毎日3000円程度の損失が積みあがっていきます。(XMのスタンダード口座、2025年1月)
これらの要素を知らずに、安易に取引対象を選ぶと、市場の動向に翻弄され、安定した収益を上げることが難しくなります。
したがって、取引を行う前に、各通貨ペアの特徴を理解し、自身のトレードスタイルやリスク許容度に合った通貨ペアを選ぶことが重要です。