
この記事では
といった悩みや疑問を抱えている人に向けて、
- ピボットの基本
- ピボットと組み合わせた勝率の高い手法
- MT4で使えるピボットインジケータの紹介
を解説します。
開発者のワイルダーさんの著書によると、「逆張り手法」ように開発されたテクニカル指標です。
水平線のレジスタンスやサポートランと同様に、値動きの反転しやすいポイントを示してくれるので、逆張りに使えます。
ピボットは現代のようにパソコンが普及する前の時代に開発されました。そのため電卓や手計算で簡単に算出できるように前日の数値だけで計算できることが特徴です。
この簡易さがピボットが普及したひとつの要因だと言われています。
移動平均線など他のテクニカルツールは基本的に20日平均や75日平均など計算が面倒なため、多くのトレーダーにとっては有効なツールではありませんでした。
一方でピボットは前日の高値・安値・終値が分かればすぐに計算できるので多くのトレーダーが使うツールになりました。
前日の値動き、値幅からピボット位置が決まるので、前日と同じような予測しやすい値動きを好む市場心理をうまく取り込んでいます。
心理的な反転ポイントは、多くのトレーダーが利確や損切をする位置と重なりやすいです。利確や損切位置は前日の値動きや直近のトレンドに左右されます。
ピボットは前日の値動きを踏襲したテクニカルツールのため、利確や損切位置を先回りして計算しています。そのため心理的に注文が多く入りやすい、転換ポイントをピボットで見つけ出すことができます。
ピボットの中心となる値
PP=(安値+高値+終値)/ 3
PPは高値・安値と終わりの平均を意味しています。
これは開発者のJ.W.ワイルダーさんや当時のトレーダーが用いていたバーチャートが高値・安値・終値で構成されていたためと言われています。
S1 = 2×PP – 高値 (=PP – (高値-PP))
R1 = 2×PP – 安値 (=PP + (PP-安値))
「PPと高・安値の差」をPPから足し引きしたものがS1とR1です。
すなわち、PPを中心に上昇と下落が、前日の上昇と下落の値幅と同じになると想定して計算した値です。
S2 = PP – (高値 – 安値)
R2 = PP + (高値 – 安値)
「前日の値幅(高値-安値)」をPPから足し引きしたものがS2とR2です。
これは、PPから前日の値幅分だけ上下に動いた場合の値を示しています。
S3 = S1 – (高値 – 安値)
R3 = R1 + (高値 – 安値)
「前日の値幅(高値-安値)」をS1・R1から足し引きしたものがS3とR3です。
S3は「Low Break Out Point」、R3は「High Break Out Point」とも呼ばれ、この水準まで来ると前日の値動きからは想定できない、強い動きであることを意味しています。
ドル円、前日の高値151円、安値150円、終値150.8円の場合
①PP = (151 + 150 + 150.8) = 150.6円
②S1 = 2×150.6 – 151 = 150.2円
R1 = 2×150.6 – 150 = 151.2円
③S2 = 150.6 – (151 – 150) = 149.6円
R2 = 150.6 + (151 – 150) = 151.6円
④S3 = 150.2 – (151 – 150) = 149.2円
R3 = 151.2 + (151 – 150) = 152.2円
となります。
ピボットの各値(PPやS1など)は「水平線」と同じように、意識されやすく値動きが反転しやすいポイントとして多くのトレーダーに認識されています。
特に上昇トレンドの押し目や下降トレンドの戻り目にR1やS1がある場合に、順張りのトレードの「一時的な調整の転換点」を見つけられます。
PPを前日と比べたり、PPと「始値」を比較することで、トレンドの度合いを測れます。
PPは前日のPPと同じになることはほぼないので必ず前日よりも大きいか、小さいかが分かります。
最もおすすめなのは「PP」と「始値」を比較して、トレンドの方向と強弱を判断する方法です。
これは後述する、ピボットを用いたトレード手法の根底となるトレンド判断方法なので後ほど詳しく解説しますが、ざっくり紹介すると「PPよりも始値が高い」場合は上昇トレンド、逆の場合は下降トレンドと判断します。
この時、PPと始値の乖離の程度が大きいほどトレンドが強いと判断するのがポイントです。
「乖離がある」、すなわち前日にトレンド方法に大きく値が動いたことが分かるので、そのトレンドは強いと判断できるわけです。
トレンドの分析 → エントリー → イグジット
乖離による、トレンドの強弱は通貨ペアによって判断基準はまちまちです。
私の分析(2020~2023年)では、ゴールドの場合はPPと始値が30pips以上乖離している場合トレンドの勢いが強いと判断できます。
①上昇トレンドが強いと判断できる場合
PPまでの押し目を待って、PPで価格が反応したことを確認してロングエントリー
②下降トレンドが強いと判断できる場合
PPまでの戻り目を待って、PPで価格が反応したことを確認してショートエントリー
利確、損切ともに20pips固定として、リスクリワードを1:1とする。
PPのファーストタッチのみ有効とする。
一度PPにタッチしたのちに再度PPまで価格が動いた場合は反発できない可能性が高いので必ずその日のファーストタッチのみを狙うこと
このため本手法のエントリーは1日1回のみ(トレンドが弱い場合やPPまで価格が戻って来なかった日はエントリーなしの場合もあり)
上記の手法で2020~2023年の間のゴールドで検証したところ勝率79%(エントリー回数178回、利確141回)となりました(スプレッド3pips固定)。
とてもシンプルな手法ですが、PPへのファーストタッチは水平線として機能しやすくゴールドのボラティリティの高さも相まって20pipsであれば数分で利確・損切に到達することが多かったです。
今回紹介した手法では、エントリーはピボットを活用し、イグジットをpipsで固定していました。
応用編ではイグジットもピボットを活用する手法を紹介します。
・エントリー
上記で紹介した手法と同様
・イグジット
利確はロングの場合はR1、ショートの場合はS1到達
損切はロングの場合はS1、ショートの場合はR1実体抜け
この場合、PPからR1とS1までの値幅が異なるので、リスクリワードが1:1とはなりませんが、勝率は83%となりpipsで固定するよりも高くできます。ぜひ試してみてください、勝率を劇的に変えることができます。
MT4ではダウンロードしただけの状態ではピボットを使うことはできません。本記事ではピボットを表示できるインジケータを紹介します。
このインジケータでは「PP・S1・S2・S3・R1・R2・R3」を表示してくれます。さらに色やフォントサイズ・線の太さを選択することができます。
ピボットの手法で紹介した「始値」を表示するインジケータはこちらで紹介していますので、使用したい方は下記のリンクからダウンロードしてください。
本記事では、ピボットの基本から、「始値」と組み合わせて勝率79%を実現する手法を紹介しました。
ピボットだけで勝ち続けることは難しいですが、他のツールや指標と組み合わせることでFXの勝率を上げられます。ピボットは世界中のトレーダが意識しているので、ピボット近辺で価格が反応しやすいです。
本記事で紹介した手法は実際に私が使用しているもののひとつです。他にもピボットの使い方は多くありますので、ぜひピボットの特性を理解して、トレードに組み込んでみてください。