FX自動売買(EA)で大損って本当?気を付けるべきポイントを解説
コンテンツへスキップ
この記事では
自動売買で大損するって聞いたけどほんと?
FX自動売買ってどこでできるの?
裁量トレードと自動売買はどっちがいい?
といった悩みや疑問を抱えている人に向けて、
・自動売買で大損する可能性
・裁量トレードと自動売買のそれぞれのメリット・デメリット
・FX自動売買を提供している会社
・自動売買の種類
を解説します。
著者:ゆう
FX裁量トレーダーからスタートし、現在はエンジニアの経験を活かしてEAトレードをメインに取引中。トレーダーの方々にEA、インジケータや取引ツールを作成して提供しています。
実際にあったEAで大損した体験談
まずは、2023年に実際に私が経験した大損の経験をお恥ずかしながら紹介しようと思います。
使用していたEAは自作のEAです。ロジックはざっくり言えば、移動平均線からある一定pips以上乖離した場合に、移動平均線へ戻ることに期待した「逆張り手法」です。
コツコツ利益が積み上がり+550万
このEAを使い始めたのは2022年の3月からでした。
運用開始時は慎重に1000万程度で余裕のあるレバレッジで運用を開始しました。初めの3か月で+550万の利益を記録して順調でした。
毎月EAの成績を分析するために、3月、4月、5月それぞれ運用結果とバックテストの整合の確認を行っていました。3か月連続で取引回数や平均的な損益幅が概ねテスト通りでほっとしました。
そして次の6月から、ロットを上げて本運用へ移行することにします。
市場の急変動で-1400万
しかし、この決断が裏目に出て、大きな損失を被ることになります。
それは2023年6月15日のFOMCの政策金利発表でした。
政策金利の発表は、日本時間の早朝3時だったため、もちろんチャートは見ておらず、寝ていました。
朝起きると、保有ポジションの損益に驚愕したのを忘れません。なんと-1400万程度です。
政策金利の発表で大きく相場が動いていたようです。すぐにスマホでポジションをすべて手動で決済しました。
ただ、EAが正常に稼働していれば、「証拠金の10%を含み損が超えたら、すべて損切される設定」(この場合は1550万の10%なので155万です。)にしていたので、なんでこうなっているか理解できず、頭が真っ白でした。
含み損が決済されなかった原因
そのままPCの電源を付け、EAを稼働していたVPSを確認しました。
するとMT4が起動していませんでした。なんとVPSが再起動されたのか、MT4が落ちたためEAが起動しておらず、ポジションが決済できなかったのです。
呆然としました。
EAをたくさん起動しているわけではなかったのですが、VPSのメモリの60~70%を常に使っている状態でしたので、相場の急変動で処理が追い付かずMT4が落ちてしまったのかなと思っています。(メンテナンス等はなかったようだったので、後日契約していたVPS業者に問い合わせました。ただし海外の業者であったのもありサポートがほぼなく、結局原因はわかりませんでした。)
この大損を機に、VPSサーバーを「海外の業者」から「日本の業者」でスペックの高いものに変更しました。その後2023年から2024年現在まで、同様の事象は起きていないので変えて正解でした。
EAで大損する原因
原因
- VPSやPCの不具合でEAが起動しなかった
- EAの前提条件を理解していない
- 設定ミス
- 過度なレバレッジ
VPSやPCの不具合でEAが起動しなかった
EAが安定して稼働するかどうかは「利益を左右する」重要な要素です。VPSやPCの不具合により、EAが正常に動作しないことはよくあり、大損の原因になります。
主な不具合の原因は、下記の通りです。
・インターネット接続状況の悪化
・VPSのサーバーダウン
・PCの予期せぬ再起動やフリーズ
・MT4のフリーズ
これらの問題が発生すると、ポジションの決済や新規注文が適切なタイミングで実行されず、予期せぬ損失を被る可能性があります。
特に、24時間稼働を前提としたEAの場合、深夜や早朝の不具合は気付くまでに時間がかかり、損失が拡大するリスクがあります。
>>対策を知りたい方はこちら
EAの前提条件を理解していない
EAを導入する際には、そのEAがどのような相場環境で機能するように設計されているかを理解することが最も重要です。
多くのトレーダーは、この前提条件の理解が不十分なまま運用を開始してしまいます。
例えば、トレンド相場で利益を出すように設計されたEAをレンジ相場で使用すると、想定外の損失を被る可能性が高くなります。また、特定の通貨ペアや時間帯に特化して開発されたEAを、異なる条件で使用することも大きなリスクとなります。
前提条件を理解するためのポイント
- EAの推奨通貨ペア(ドル円やゴールドなど)
- 最適な時間足(5分足や日足など)
- 想定される市場環境(トレンド/レンジ)
- 必要な証拠金額
- 推奨される取引時間帯(東京・ロンドン・NY)
設定ミス
EAの設定ミスは、大損を引き起こす代表的な原因です。特に初心者は、パラメーターの意味を十分理解しないまま数値を変更してしまうため注意が必要です。
主な設定ミスの例
– ロット数の誤入力
– 損切り幅の設定忘れ
– マジックナンバーの重複
これらの設定ミスを防ぐためには、各パラメーターの意味と影響を理解し、慎重に確認作業を行うことが重要です。
また、本番環境で運用する前にデモ口座でテストを行うことで、設定をEAが正常に稼働するか確認できます。
過度なレバレッジ
レバレッジの過剰な使用は、EA運用において最も危険です。高レバレッジでの取引は、小さな値動きでも大きな損失につながります。
過度なレバレッジのリスク
- 急激な相場変動時の証拠金不足
- 強制決済の可能性増大
- 取引コストの増加(証拠金に対してスプレッドコストが大きい)
使用するEAの推奨する証拠金があれば、それに従うようにしましょう。推奨する証拠金がしめされてない場合は、EAのバックテストかフォワードテストを確認し、最大ドローダウンと証拠金、ロットの関係から、過度なレバレッジにならないように証拠金を計算して運用してください。
>>レバレッジと証拠金についてはこちら
EAで大損しないための対策
対策
- バックテストの最大ドローダウン以上になったらEAを止める
- EAのロジックを理解する
- バックテストと実際の運用実績をチェックする
- 利益が出たら定期的に出金
FX取引におけるEA運用では、適切なリスク管理が重要です。以下では、EA運用で大きな損失を防ぐための具体的な対策について解説します。
バックテストの最大ドローダウン以上になったらEAを止める
EAの運用において、「最大ドローダウン」の管理は資金を守る重要な指標となります。最大ドローダウンとは、運用期間中に発生する最大の含み損を指します。
バックテストで示された最大ドローダウンを超えた場合、EAが想定外の相場に直面していると考えられます。その場合は一度EAを停止して、他のEAを検討しましょう。
最初にお話しした、私の大損の体験談で紹介したEAも最大ドローダウンが証拠金の10%を超えたら損切するように設定していました。これは、バックテストの結果最大ドローダウンが9.53%だったことを参考に決めています。
EAのロジックを理解する
EAのロジックを理解することは、運用リスクを軽減する重要な要素です。
特に下記の点について十分に理解することが需要です。
- エントリーとイグジットの条件
- 使用しているテクニカル指標の特性
- ポジションサイズの計算方法
- リスク管理の仕組み(損切り、利確の設定など)
- 通貨ペア、時間足
- 相場環境との適合性
ロジックを理解することで、自分でEAが正常に機能しているか確認できます。さらに、機能しにくい相場環境を事前に把握し、運用を停止するなどの判断ができます。
バックテストと実際の運用実績をチェックする
バックテストと実運用の結果を定期的に比較検証することは、EAの健全性を確認する上で重要です。
以下のポイントに注意して検証を行ってください。
- バックテストと実運用のパフォーマンスの乖離
- 想定された勝率や損益比との違い
- 取引回数や保有時間の変化
検証結果に基づき、必要に応じてパラメーターの調整や運用の見直しを行うことがおすすめです。定期的な検証により、早期に問題を発見し、大きな損失を防げます。
利益が出たら定期的に出金
利益の出金(もしくは別口座へ移動)は、リスク管理の基本的な方策の一つです。出金のタイミングと金額については、自分なりの基準を設けておくと管理が楽なのでおすすめです。
出金管理の例
- 月次や週次など、定期的に出金するスケジュールを設定
- 利益が○○円を超えたら一定割合(例:50%)を出金
EAを稼働している証拠金を減らすことで、損になった場合でも大損するリスクは低くできます。
EAでうまく稼ぐコツ
EAで利益を上げるためには、いくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。初心者の方でも実践できる具体的なコツをご紹介します。
コツ
- まずは自分で「小額で運用(デモ口座でもOK)」してみる
- 「ロジックが公開されている」EAを使う
- 証拠金とロットのバランスをとる
まずは自分で「小額で運用(デモ口座でもOK)」してみる
EAを使用する際は、初期投資額を抑えて運用を開始することが重要です。
その理由として下記の3点が挙げられます。
1. EAの動作特性を理解できる
2. リスク管理の練習ができる
3. PCやVPSのトラブルへの対処方法を学べる
運用開始時は、5~10万円程度の少額から始めることをおすすめです。小額でも不安な場合は、デモ口座で運用してみましょう。実際に運用してみることで気づきが多くあります。
小額での運用期間を3ヶ月程度設けることで、EAの特徴や市場との相性が理解できます。
「ロジックが公開されている」EAを使う
EAを選ぶ際は、取引ロジックが公開されているものを選択することが重要です。
ロジックが公開されているEAを使うメリット
- 取引の仕組みが理解できる
- リスクの所在が明確
- パラメーター調整が可能
一方で、ブラックボックス化されたEAには、「正常にEAが起動しているか確認しずらい」、「過剰に過去の相場にフィッティングしている可能性がある」など多くのリスクが存在します。このため、あまりおすすめしません。
証拠金とロットのバランスをとる
EAの運用では、証拠金とロットサイズの適切な設定が収益を大きく左右します。
証拠金維持率の管理とそれを実現するための適切なロットサイズの設定を意識してください。
バランスを適切に保つことで、安定したEA運用につながります。定期的な設定の見直しも忘れずに行いましょう。
初心者が損しないための注意点
注意点
- 大きなお金で運用しない
- 通貨ペア・時間足をよく確認
- 常にEAが売買できる状態になっているか確認
大きなお金で運用しない
EAを初めて使用する場合、運用資金の設定は慎重に行う必要があります。初期段階での推奨される運用資金は、「生活に影響のない金額」に設定してください。
運用資金を小額に抑えることで、不安が軽減でき、ストレスなくリスク管理の練習やEAの動作検証が実践的に行えます。
運用実績が安定してきた後に、徐々に資金を増やしていく方法を取ることで、大きな損失を避けることができます。
通貨ペア・時間足をよく確認
EAの設定において、「通貨ペア」と「時間足」は運用結果を大きく左右します。
使用するEAのバックテストや説明をよく読んで、通貨ペアと時間足を間違えないようにしましょう。
常にEAが売買できる状態になっているか確認
EAの安定的な運用には、稼働環境の安定が不可欠です。下記のEA初心者にありがちなミスをよく確認してから、EAを運用して下さい。
VPSでの運用の注意点
- サーバーメンテナンスでMT4がシャットダウンしていないか確認
- システムアップデートの確認
- インターネットの接続状況が安定しているか確認
PCでの運用における注意点
- 電源設定の確認(スリープモードではEAが動きません。常に電源は入っている状態に)
- インターネット接続の安定性確保
- メモリ使用状況の確認(相場の急変動などで処理が重くなることがあります。メモリに余裕をもたせましょう)
まとめ
自動売買で大損する原因とその対策について解説しました。
EA初心者の方は、まずEAのリスクについて十分に理解した上で利用してください。
EAのロジックを理解せず、「月利○○%稼げます」や「爆益EA」だけを鵜呑みにしてお金をつぎ込んで後悔しても遅いです。
まずは自分の理解できるもので小額(デモ口座でもOK)で運用しましょう。